【本のレビュー(読書感想・書評・要約)】 「生き方」 著:稲盛和夫
【本のレビュー(読書感想・書評・要約)】 「生き方」 著:稲盛和夫
この本は、大企業、京セラ、KDDIを創業し、JALを再生に導いた稲盛和夫さんの著書。
累計100万部以上売れているロング・ミリオンセラーとなっている本。
稲盛和夫さんの人生経験をもとに、人生哲学、人生論について書いてあり、何度でも読み返したい、内容の濃い、深い本である。
この本を読む前の私は、
生きる意味や目的、自分自身の哲学的なものがはっきりしていなかったが、
この本を読んでからは、
「自分の生きるうえでの信念」や「生きる意味・目的・方向性」が見えてきたように感じる。
実際に、この本で学んだことが、座右の銘となり生きるうえでの指針となっている。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
<本書を読み、気づいたこと・学んだこと(要約)>
※哲学とはなにか・・・理念、思想。人生観、倫理観。
1.人間が生きる意味・目的とは
・心を高め、魂を磨くこと。
〇この世に何のために生まれてきたのか → 自分の人間性を高め、この世に生まれてきたときより美しい魂を持ってこの世を去っていくため。
人間という生命が最終的に目指すべきものは、ただ心の錬磨にあり、その魂の修行、試練の場として、私たちの人生が与えられている。そして、そのためには「精進」が必要。
2.「精進」することの大切さ
・精進とは:一生懸命努力すること。
〇六つの精進
①誰にも負けない努力をする
②謙虚にして驕らず
③反省のある日々を送る
④生きていることに感謝する
⑤善行、利他行を積む
⑥感情的な悩みをしない
この「精進」が、私たちの心を高め、人格を錬磨するためにもっとも大事で、一番有効な方法。
3.感謝の心
・良いことも悪いことも何事にも感謝の心(ありがとうの心)を持つことが大切。
・困難があれば、成長させてくれる機会を与えてくれてありがとう。幸運に恵まれたら、なおさらありがたい、もったいないと感謝する。「感謝の心」を持てば、満足感を味わえる。
4.宇宙の法則
宇宙には、すべてをよくしていこう、進化発展させていこうという力の流れが存在している。・・・宇宙の法則・宇宙の意思ともいえる。
・人生は心に描いたとおりになる、強く思ったことが現象となって表れてくる。
→そのため、良い思いを描く人には良い人生が開けてくる。悪い思いを持っていれば、人生は上手くいかなくなる。
◎すべてに対し、よかれしという利他の心、愛の心を持ち、努力を重ねていけば宇宙の流れにのってすばらしい人生を送ることができる。
☆人の存在とは
・すべての人が天から役割を与えられ、役割を演じているわけであり、その意味では、どの人にも同じだけの存在の重みがある。
→宇宙に存在する神羅万象はすべて、大きな宇宙という生命の一部なのであり、けっしておのおのが偶然に生み出されたものではない。どれ一つとして宇宙に必要だからこそ存在している。
〇生きていれば苦労は必ずあるもの
―ある老師の言葉―
「災難にあったら落ち込むのではなく、喜ばなくてはいけない。災難によっていままで魂についていた業(カルマ:現象を生み出す原因となるもの)が消えていく。それくらいの災難で業が消えるのだから、お祝いをしなくてはいけない」
☆人生をつかさどる見えざる大きな力
①運命・・・人間の意志にかかわらず、幸福や不幸を与える力のこと。
②因果応報の法則・・・よいことをすればよい結果が、悪いことをすれば悪い結果が生じるという法則。→私たちに起こるすべての事柄には、必ずそうなった原因がある。それは、自分の行いや思いである。
☆「叡智の井戸」「知恵の蔵」
・この世界のどこかに、「知恵の蔵」ともいうべき場所があり、我々は自分たちも気づかないうちに、その蔵に蓄えられた「知」を、新しい発想やひらめき、創造力として、その都度引き出したり汲み上げたりしているのではないか。それはいわば「叡智の井戸」であり、神や宇宙の真理のようなものがそれを所有している?!・・・。
○「神の啓示=インスピレーション」
・叡智の井戸から、新しい「知」を引き出すには、燃えるような情熱、真摯な努力を積み重ね、良い思いを抱いて一生懸命に頑張ること。
→そうする人に、神が「新しい発見・ひらめき」を授けてくれるのではないか。
5.「知足利他」
①利他の心
・仏教でいう「慈悲」、キリスト教でいう「愛」のこと。
・自分のことは後回しにして、世のため人のために尽くすこと。
・人間として最高の行為。
→人間の心がより深い、清らかな至福感に満たされるのは、エゴ(自分の欲、利己)を満たしたときではなく、利他を満たしたとき。他人のために尽くすことがめぐりめぐって自分も利することになる。
②足るを知る:「知足」
・必要以上に求めないという自然の「節度」
・自分の分をわきまえて、それ以上求めないこと。
→「知足」にこそ、人間の安定がある。
◎「知足の生き方」とは
・現状に満足して、何の新しい試みもされない、停滞感や虚脱感に満ちた生き方ではない。人間の叡智により新しいものが次々に生まれ、健全な新陳代謝が間断なく行われる、活力と創造性に満ちた生き方。
『知足利他』:そこへ達することより、そこへ達しそうと努めることが大切。そうであろうとする日々が私たちの心を磨く。
6.人生の方程式
『人生・仕事の結果 = 考え方×熱意×能力』
これは、人生をよりよく生き、幸福を得るための方程式
人生や仕事の成果は、この3つの要素の“掛け算”によって得られる。
「能力」:才能や知能ともいえる。多分に先天的な資質を意味する。健康や運動神経もこれにあたる。
「熱意」:事をなそうとする情熱や努力の心のこと。これは自分の意志でコントロールできる後天的な要素。
※能力と熱意は0点~100点まである
→掛け算であるため、能力があっても熱意が乏しければいい結果はでない。逆に、能力がなくても、人生や仕事に燃えるような情熱・熱意であたれば、先天的な能力に恵まれた人よりはるかにいい結果を得られる。
「考え方」:3つの要素の中でもっとも大事で、この「考え方」で人生が決まってしまうといっても過言でない。
◎考え方とは・・・心のあり方や生きる姿勢。哲学、理念や思想。
この「考え方」には、-100点~100点まである。つまり、考え方が-(マイナス)であれば、掛け算をすればマイナスにしかならない。
・私たちは、人間としての役割を認識し、人生において魂を磨いていくことに努める必要がある。生まれたときより、少しでもきれいな魂になるため、常に精進を重ねていかなければならない。それが、人間が何のために生きるかという問いに対する答え。
◎一生懸命働くこと、感謝の心を忘れないこと、善き思い、正しい行いに努めること、素直な反省心でいつも自分を律すること、日々の暮らしの中で心を磨き人格を高め続けること。そのような当たり前のことを一生懸命行っていくことに、生きる意義があり、それ以外に人間としての生き方はない。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
この本から学び、これから私が実行していこうと思ったことは
①この本を読んでからの信念・座右の銘としている「知足利他」の持ち続け人生を送ること。
②人として正しいことを考え、いつも一生懸命でいること。
このことを実践していこうと思った。
最初に書いた通り、本書は内容が濃く、1度ではなかなか読みきれない内容であるため、これからも時々読み返し、深めていきたい1冊。